2007 Fiscal Year Annual Research Report
サヘル地域での「風食」をめぐる肥沃度動態の解明とそれに基づく砂漠化対処技術の提案
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06J03341
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊ケ崎 健大 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 西アフリカ・サヘル地域 / 風食 / 砂漠化対処技術 / 風成物質の移動 / 粗大有機物 / 風成物質捕捉装置 / 休閑地の管理 / 休閑植生 |
Research Abstract |
1.耕地内休閑システムの有用性の検証(2年目) 国際半乾燥熱帯作物研究所サヘルセンターの試験圃場においては、予定通り耕地内休閑システムの有用性検証試験を開始した。 同国ファカラ地域においては、休閑帯と休閑帯に挟まれた耕作帯の幅が異なる3区画(耕作帯の幅はそれぞれ14.5、29、58m)の圃場で、休閑帯に捕捉された風成物質の量を測定したところ、耕作帯の幅が広くなるほど休閑帯に溜まる風成物質の量が増えることが分かった。また、同3区画の休閑帯を耕作して収量を調査したところ、風成物質が多量に溜まっている休閑帯ほど収量は有意に高くなった。これは、株毎の作物生育が改善したこと及び欠株数が減少した(生育ムラが少なくなった)ことに由来した。これらの結果を基に、耕地内休閑システムを導入した場合の圃場全体での収量増加割合をシミュレーションしたところ、耕作帯の幅を約40mにした際に収量が最大になることが分かり、その時の圃場全体での収量増加割合は約10%であることが分かった。また、同シミュレーションにより、耕地内休閑システムの導入によって風食の被害を約70%抑制できることも分かった。以上より、耕地内にたった数本の幅5mの休閑帯を導入するだけで、サヘル地域の砂漠化の主要因である風食の抑制と作物収量の増加が可能になることから、耕地内休閑システムの有用性が検証された。 2.風成物質による肥沃度回復メカニズムの解明(1年目) ファカラ地域の上記3区画の圃場において、風成物質が溜まる前後で休閑帯と耕作帯の表層土を採取・分析したところ、風成物質が溜まった休閑帯では、耕作帯に比べて植物残渣などの粗大な有機物の量が有意に増加した。また、耕作帯ではクラストが形成されていたが、休閑帯では溜まった風成物質によってクラストの形成が抑えられ、雨水の浸透性が改善された。以上のことが上記の作物収量の増加に繋がったと考えられた。
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Research Products
(4 results)