2007 Fiscal Year Annual Research Report
承久の乱を中心とした日本中世における政治史および思想史の研究
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06J03361
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長村 祥知 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 在京武士 / 京武者 / 在京御家人 / 西面 / 後鳥羽院 / 木曾義仲 / 武士論 / 閑院内裏 |
Research Abstract |
今年度は、鎌倉前期在京武士の特質と後鳥羽院による軍事動員・組織についての研究を進め、(1)「後鳥羽院政期在京武士の存在形態と院の権門武力組織-西面小考-」を執筆した。(1)では、鎌倉前期在京武士の構成は院政期とは大きく異なるが、後鳥羽による在京武士動員は院政期の院による武士動員の延長上に位置する、ということを論じた。主要な論点は以下の通り。当該期在京武士の主力は有力在京御家人であり、京武者の武力には限界があった。京武者は京のみを基盤としたが、在京御家人は京・鎌倉の双方を基盤として一族で活動を分担した。後鳥羽院は、如上の両集団を含む在京武士を、公権力によって動員しえた。西面などの院の権門武力組織は、軍事動員の必須の前提ではなく、強大な院権力の表れと言える。後鳥羽は、在京御家人以外の在京武士をも育成した。その中でも、大規模軍事動員の史料に見える「西面」は、個々は弱体な武士が編成された部隊と考えられる。(1)の他に、治承・寿永内乱期の在京武士論として(2)「法住寺合戦」を、後鳥羽院政論として(3)「後鳥羽院と公家衆」、(4)「後鳥羽院関係年譜」を執筆した。(2)は、寿永二年(1183)11月に起こった木曾義仲と後白河院との合戦を主題とする。同合戦に関係した武士・貴族の動向など、在京中の義仲を取り巻く政治情勢を復元した。(3)では、後鳥羽院と様々な関係を持った公卿について、家ごとに具体例を挙げて、当該期貴族社会の特質を論じた。(4)は後鳥羽に関する年表である。以上の成果は、2008年中に公表する予定である。また、(5)「閑院内裏修造関係史料集(稿)」を公表した。(5)は、平安〜鎌倉時代に天皇の里内裏として利用された閑院内裏の修造に関係する史料を編年的に配列したものである。
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Research Products
(6 results)