2006 Fiscal Year Annual Research Report
現代イスラーム金融の動態的研究-理論と実践の学際的総合を目指して
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06J03371
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長岡 慎介 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 日本学術振興会特別研究員(DC1)
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Keywords | イスラーム金融 / イスラーム経済学 / 経済理論 / 経済思想 / 中東地域研究 |
Research Abstract |
1.現代イスラーム金融の金融契約に付随するリバー、ガラルの経済学的な意味に関する研究 リバーの経済学的な意味を間う研究としては、金融契約の1つであるムラーバハ契約を取り上げ、類似性が指摘される利子付貸借との違いを経済学的な観点から説明することを試み、日本中東学会で口頭発表を行い、『日本中東学会年報』に投稿した。そこでは、利子付貸借の場合と比べてムラーバハ契約は、実物経済の影響を直接的に受けることが明らかになり、このロジックは他のイスラーム金融契約にも共通することが明らかになった。一方、ガラルの経済学的な意味を間う研究としては、イスラーム法の歴史と現代イスラーム金融の実践におけるガラルの扱われ方を概観し、今後の考察の方向性を論じた。 2.イスラーム金融機関をめぐるアラブ諸国の制度的な枠組みに関する研究 主にエジプトとアラブ首長国連邦におけるイスラーム金融機関の設立を容認する法制度について、現地調査を行い、韓国中東協力会議・韓国中東学会(共催)で口頭発表(英語)を行った。そこでは、両国における法制度の成立のあり方が180度異なっていることが明らかになり、それは、イスラーム金融機関登場時の両国の金融システムの成熟度に由来していることが明らかになった。 3.現代イスラーム金融研究の方法論をめぐる研究 現代イスラーム金融研究の現状についてのサーベイ論文を『アジア・アフリカ地域研究』に発表し、現代イスラーム金融の実践と理論の関係について地域研究の文脈で考察した。 4.現代イスラーム金融の経済人類学的研究 現代イスラーム金融システムの構造的な特徴について、経済人類学の手法を用いて、価値・負債関係の観点から、在来型の金融システムの構造と比較を行い、債務・債権関係における信頼の構造にその独自性を見出した。
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Research Products
(4 results)