2008 Fiscal Year Annual Research Report
バイオテレメトリー情報によるアカアマダイの行動生態解明と放流技術への応用
Project/Area Number |
06J03380
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横田 高士 Kyoto University, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アカアマダイ / 人工種苗 / 種苗放流 / 超音波テレメトリー / 捕食試験 / 行動特性 / 巣穴 / 日周性 |
Research Abstract |
アカアマダイ天然魚はトンネル状の巣穴を海底に形成することが明らかにされ,これは被食回避に役立つと推察されていた。また,報告者はアカアマダイ天然魚が昼間に巣穴外,夜間に巣穴内に日周的に移動することを明らかにした。平成20年度は,アカアマダイ放流種苗が天然魚に備わった行動特性を身につけているか否かと被食により減耗しやすさとの関係を検証した。アカアマダイ人工種苗を捕食者(マアナゴもしくはカサゴ)と同じ水槽に収容して定期的に観察した。人工種苗が捕食された時間帯は,捕食者をマアナゴとしてもカサゴとしても日没後であった。しかし,両者の捕食行動は異なった。マアナゴは,アカアマダイを視認して一直線に捕食しにかかることなかった。マアナゴは人工種苗が形成した巣穴に行き当たった場合,頭部から強引に侵入しようとした。人工種苗がトンネル状の巣穴を完成させていた場合は,マアナゴが侵入した側と反対側の入り口から勢いよく脱出した。この際,試験水槽から飛び出るような突進遊泳を伴ったため,ひとたびは被食を回避できるものと考えられた。捕食者にカサゴを用いると,アカアマダイを視認するや否や一直線に襲いかかり一口でのみこむ方法で捕食しにかかった。巣穴を形成しなかった人工種苗は直ちに捕食された。しかし,カサゴはマアナゴのように巣穴に強引に侵入するようなことはなく,人工種苗が巣穴内に滞在しさえすれば被食を回避できることが明らかになった。以上より,アカアマダイ人工種苗が被食による減耗を軽減する上で備えていることが望ましい特性として,速やかに身を隠し,トンネル状の巣穴を形成し,天然魚のように夜間は巣穴外に出ないことが明らかになった。
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Research Products
(5 results)