2007 Fiscal Year Annual Research Report
バイオテレメトリー情報によるアカアマダイの行動生態解明と放流技術への応用
Project/Area Number |
06J03380
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横田 高士 Kyoto University, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アカアマダイ / 人工種苗 / 種苗放流 / 種苗性 / 日周性 / 超音波テレメトリー / 定着性 |
Research Abstract |
行動特性の観点からアカアマダイ人工種苗の種苗性を向上させることに寄与しうる知見を集積することに取り組んできた。これまで飼育下で正常な日周性があらわれる個体が天然海域に放流後に付近に定着しやすい傾向が示唆された。平成19年度は本種の人工種苗にもこの傾向が当てはまるどうかを明らかにすることに取り組んだ。室内に90cm水槽を用意し,本種の巣穴に見立てたトンネルを2個設けた。室内の照明は,昼間には点灯させ,夜間には消灯させた。アカアマダイ人工種苗10尾(全長22.3±0.7cm)について,2尾ずつを水槽内に収容して一昼夜連続してビデオ撮影を行った。個体ごとに,180度以上向きを変えた行動(ターン)を計数した。また,1分おきにトンネル内部に滞在していたかどうかを観察し,内部に滞在していた割合(滞在率)を計算した。撮影後,同一個体を舞鶴湾に放流し,超音波テレメトリーによる行動追跡を行った。水槽内でのターン頻度の昼夜比から,10尾は昼行性の6尾と昼行性以外の4尾に分けられた。滞在率も昼夜で差がない個体が多く,日周性を明確にあらわす指標とはならなかった。放流追跡では,10尾中5尾は放流地点付近に留まり,昼間は巣穴外,夜間は巣穴内に移動する日周行動を示した一方,残りの5尾は放流地点を離れた。放流地点付近に留まった5尾中4尾は,水槽内でのターン頻度の昼夜比から昼行性と判断された個体であった。放流地点を離れた5尾中3尾は,水槽内で昼行性以外と判断された個体であった。この結果は過去に行った予備的な研究結果とも一致した。飼育下で昼行性があらわれる個体が放流海域に定着し留まりやすい傾向は,アカアマダイ人工種苗にも当てはまることが示唆された。
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Research Products
(3 results)