2008 Fiscal Year Annual Research Report
バイオインフォマティクスによる網羅的な糖鎖構造の解析
Project/Area Number |
06J03403
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 浩介 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | glycosyltransferase / data mining / glycan / tree mining / family analysis |
Research Abstract |
本年度はプロジェクトの最終年度として、これまで行ってきた糖鎖構造解析の手法を発展させると共に、糖転移酵素から構造を予測するという新たなアプローチを試みた。 ・糖鎖構造解析 本年度に新たに取り組んだ課題は、多数の糖鎖構造データから頻出する部分構造を高速に抽出する手法を開発することである。この問題は、タンパク質におけるモチーフ抽出に対応する重要な問題であるが、糖鎖構造の複雑さのためにこれまで行われていなかった。この問題に対し、データマイニングの分野で確立された列挙法を拡張し、新たな木構造マイニング法であるα-closed法を開発した。この手法の重要な点は、結果として得られる膨大な数の部分構造を、冗長性を省くことで圧縮できるようにしたこと、及び統計的な検定による順位付けを可能にしたことである。この手法をKEGG GLYCANに登録されている実際の糖鎖構造に適用したところ、Lewis Xなどのよく知られた部分構造や、糖タンパク質、糖脂質のコア構造を高速に抽出することができた。 ・糖転移酵素の網羅的な解析 仮に、ある生物種のゲノム中に存在する糖転移酵素とその基質特異性がすべて明らかになれば、その生物種が合成できる糖鎖を予測することができる。このような考え方に基づき、まず36の真核生物のゲノム中に存在する糖転移酵素のセットを配列解析によって決定した。次に、それらの組み合わせから合成されうる糖鎖構造を予測し、生物種間で比較を行った。その結果、例えばN-glycan前駆体については、多くの原生生物に加えて、一部の藻類も通常より小さい前駆体構造を合成することが予測された。また、O-glycanのコア構造に関しては、動物の合成出来る構造の範囲に比べて、植物や菌類、原生生物が合成できる構造の範囲はかなり小さくなることが示唆された。
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Research Products
(7 results)