2006 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本社会において性同一性障害が作られる過程についての医療人類学的研究
Project/Area Number |
06J03413
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 瑞恵 京都大学, 人文科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 性同一性障害 / ジェンダー / セクシュアリティ / 医療化 / マイノリティ |
Research Abstract |
1.性同一性障害や性転換症を扱う医学的資料を中心に、より広くトランスジェンダー(性別越境者)に関連する社会史的資料(手記、当事者団体報告書、新聞・雑誌記事、インターネットサイト等)2,452件を、調査助手と共に収集・複写・整理を行った。また、このテーマと関連する文化人類学・医療社会学・女性学等の国内外の文献を収集・閲覧し、学術的な位置づけを行った。 2.関西にて年度を通じ適宜フィールド調査を行い、また2月下旬〜3月下旬の1ヶ月間、東京にて実地調査・文献調査を行った。これまでの調査に加え、当事者(のべ17名)、医療関係者(5名)にインタビューを行い、また自助団体の定例集会、各種イベント等(27回)にて参与観察した。この間、戦後日本<トランスジェンダー>社会史研究会のメンバー等、他の研究者と情報交換や検討を行ってきた。全国的イベントの前後に、地方の参加者からも聞き取りをしたが、実際地方に赴いての調査は来年度の課題となった。この調査から、性同一性障害医療や当事者ネットワークの歴史的変遷だけでなく、地理的な繋がりや展開がより明確になった。 3.これまでの調査をふまえ、以下の報告を行った。 ・性同一性障害モデルが普及する医療化の過程における、ミクロな規範化と脱規範化のプロセスについて、日本分化人類学会にて報告した。そのうち特に「障害」という言葉の抑圧と戦略的利用について、日本保健医療社会学会において報告した。 ・田中玲『トランスジェンダー・フェミニズム』の書評として、同氏へのインタビューを踏まえ、トランスジェンダーの視点からフェミニズムや医療制度に潜む性別二元制度を問い直す、という実践の重要性を指摘した。 ・当事者の意志と医療的管理の狭間で揺れながら、よりよい医療のありかたを模索し変革を続ける性同一性障害医療の現状について、「GID学会レポート」にて報告した。
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Research Products
(2 results)