2006 Fiscal Year Annual Research Report
未分化胚性幹(ES)細胞で高発現する遺伝子sall4の機能解析
Project/Area Number |
06J03419
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坪岡 則子 京都大学, 大学院医学研究科, 特別研究員DC1
|
Keywords | sall4 / Es cell |
Research Abstract |
ES細胞は多能性幹細胞であり、近年、再生医療への応用に期待が高まっている。近年、ES細胞から種々の有用な分化細胞を効率よく作出する多くの研究がなされているが、多能性を維持しつつ、大量に、かつ安全にES細胞を増殖させることは応用を目指す上での大前提となり、そのためにはES細胞の自己複製能の分子機構の解明が望まれている。その一端を明らかにするため、本研究ではヒトES細胞でも高発現することが示唆される遺伝子sall4の機能解析を行っている。sall4の変異マウスを作製し、解析した結果、これまでに、Sall4+/-マウスは外脳症、Curly tailといった神経管閉鎖異常や、肛門形成不全が原因で成獣となるまでに約半数が致死となることを明らかにした。現在、これらの表現型となる分子メカニズムを解析中である。 また、sall4-/-マウスは受精後6.5日目以前に致死となった。この原因を明らかにするため、in virtoでsall4-/-胚盤胞を培養し、解析した結果、sall4-/-ICMでアポトーシスの誘導は認められなかった。一方sall4-/-ICMの増殖は極めて遅く、-/-ICMから-/-ES細胞は期待値の20%と、低頻度でしか樹立できなかった。これらのsall4-/-ESを詳細に解析したところ、細胞株間によって増殖能、分化能、腫瘍形成能などの性質が異なることや、Sall4の下流候補因子の発現に変化がなかった。このことから、sall4-/-ICMからのES細胞の樹立過程、また樹立されたES細胞でSall4下流因子がSal14の機能を補完していることが考えられる。現在、sall4+/+,-/-ESを用いてクロマチン免疫沈降を行い、Sa114標的因子を確定することで、Sall4のES細胞での機能を明らかにすることを試みている。
|