2007 Fiscal Year Annual Research Report
未分化胚性幹(ES)細胞で高発現する遺伝子sall4の機能解析
Project/Area Number |
06J03419
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坪岡 則子 Kyoto University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | sall4 / ES細胞 |
Research Abstract |
前年度までにSall4-/-マウスが着床直後に致死となり、Sall4-/-ICMからSall4-/-ES細胞は低頻度でしか樹立できないことを明らかにし、また、樹立された-/-ES細胞株は何らかの因子によりSall4の機能が補償されている可能性を考えた.そこで-/-ES細胞でSall4の機能を補償する因子を同定するため、Sall4+/+,-/-ES細胞に,sall1,sall4に対する合成siRNAを導入し,Sall1,Sall4をノックダウンした時のNanogの発現量の変動を調べた.結果、-/-ES細胞でNanogの発現量は低下しなかったが,野生型ES細胞でSall4をノックダウンすると発現量の低下が認められ,さらに、-/-ES細胞でもSall1の発現量に応じてNanogの発現低下が認められた事から,これら低頻度で樹立されたSall4-/-ES細胞株では,Sall4の,少なくとも一部の機能をSall1が代償している事が示唆された.また、Sall4の直接の標的遺伝子を同定するため,マウスES細胞を用いて,ES細胞の多能性維持や分化を支持する遺伝子のプロモーター,エンハンサー領域でクロマチン免疫沈降法を行い,内在性Sall4が結合する領域を調べた.結果,ES細胞の未分化維持に必須である3つの転写因子,Sox2,0ct3/4,Nanogに共通する標的遺伝子のいくつかはSall4の標的遺伝子でもあり,未分化性を支持する遺伝子の転写活性化や,分化を支持する遺伝子の転写を抑制している事が示唆された.さらに,Sox2,0ct3/4,Nanog,またSall4自身の転写調節領域にSall4が結合する事を明らかにし,これら転写因子はSall4で発現制御されると考えられた.当研究で,Sall4はES細胞の特性を支持する転写因子ネットワークの主要因子である事を明らかにすることができた.
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Research Products
(2 results)