2006 Fiscal Year Annual Research Report
量子論的時空上の場の量子論とその現象論、宇宙論、弦理論への応用
Project/Area Number |
06J03433
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笹井 裕也 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子重力 / 非可換時空 / 非結合時空 / ユニタリティー |
Research Abstract |
古典重力理論はリーマン幾何学により記述されるが、重力の量子論を考えたとき、その有効理論としての時空構造が、リーマン幾何学では記述できないことが予想される。例えば、弦理論は重力の量子論を含んでいるが、ある背景場をもつ弦理論を考え、その点粒子極限を考えると、座標に非可換性や非結合性をもった場の理論が有効理論として現れることが知られている。また、弦の場の理論は開弦の場合、場は非可換、結合的であり、閉弦の場合、可換、非結合的であることも知られている。一方、我々のよく知っている非可換時空上での場の理論は、時間座標と空間座標に交換関係を持つとき、量子論において本質的なユニタリティーの性質を持たないことが知られている。また並進対称性は持つがローレンツ不変性は持たない。 そこで、我々は可換であるが、座標に非結合性を持った時空上でのボアンカレ不変、すなわちローレンツ不変性も並進対称性も持つ場の理論を構成し、3次元、4次元において、1-loopレベルで振幅がCutkoski ruleを満たすか否かを見ることにより、ユニタリティーを調べた。その結果、どちらの場合でもユニタリティーを持つことがわかった。この結果は時間方向に非局所的を持つ理論であるにもかかわらず、ユニタリティーを満たす点で非常に興味深い時空であると思われる。 また、非可換時空においてしばしば発生するUV-IR mixingと呼ばれる、外線運動量が0に近づくと、振幅が発散する現象は、我々の可換、非結合時空では発生しないだろうことを考察した。 また、構成した場の理論との関係は未知であるが、非結合代数から非可換代数が導かれる例を紹介した。これは量子論において重要な非可換代数と非結合代数がまったく無縁ではなく、よって非結合代数もまた量子論的時空の候補に成り得るという意味で興味深い。
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Research Products
(1 results)