2008 Fiscal Year Annual Research Report
サイクリンB1遺伝子がM期における発現抑制を免れる機構
Project/Area Number |
06J03440
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
霧生 尚志 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞周期 / 癌 / S期 / 転写 / 翻訳 |
Research Abstract |
相同組換えを利用した,安定発現株の作成とその与展開について. 前年度では、レンチウイルスベクターを用いてさまざまな遺伝子の安定発現株を得ようとしたところ、細胞周期の異常(S期の進行が遅れていた)が生じた.ところが,今年度に,レンチウイルスベクターを用いずに安定発現株を得ても同じ異常が観察された.しかし,同時に数は少ないが,異常を持たないクローンも取得できた.この異常をもつクローンと異常を持たないクローン間で,どのような差異があるのかをフローサイトメータを使用して調べたところ,異常のあるクローンと異常のないクローン間では細胞集団に違いが認められた.すなわち、ABC transporterの一種であるABCG2を発現していない細胞のクローンはS期の進行が速いことがわかった.ABCG2を発現している細胞は,薬剤排出能力が高く,一般にSP細胞と呼ばれる. 細胞のクローニングによって細胞周期の進行は異なるものの,M期への影響がないかどうかを確かめるために,この現象を詳細に調べた.すると,SP細胞とnonSP細胞の両方を含むクローンとSP細胞のみで構成されるクローンが得られることが分かった.SP細胞とnonSP細胞との発現を比較するために,プロテオミクス解析及びトランスクリプトーム解析を行ったところ,それぞれを規定するマーカー遺伝子が数種類得られた.これらの遺伝子がM期に影響するかどうかは不明である. 結局のところ,サイクリンB1遺伝子のM期の発現制御解析はほとんど進展がなかった.これからの展開には新たな技術,知識が必要になると考えられる.
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