2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規に単離したHIV抑制宿主因子の作用機序解明とエイズ治療法への応用研究
Project/Area Number |
06J03444
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
芳田 剛 京都大学, ウイスル研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | HIV / CXCR4 / CD63 / 膜輸送 / 受容体の細胞質膜状発現 |
Research Abstract |
これまでに研究代表者は、細胞にCD63の変異体(CD63ΔN)を発現させることにより、HIV-1の補助受容体であるCXCR4を細胞内にのみ局在させ、細胞質膜上から消失させることを示し、その結果HIV-1の感染を阻止できることを見出した。 はじめに、野生型CD63導入が細胞質膜上におけるCXCR4の発現量へ与える影響を検討した。その結果CD63を強制発現させた細胞においては、その発現量増加に反比例してCXCR4の細胞質膜上における発現量が減少した。その活性は変異体であるCD63ΔNの3分の1程度であった。一方、small interfering RNA(siRNA)を用いて内在性のCD63分子をノックダウンした細胞においては、CXCR4の細胞質膜上における発現量は有意に増加した。すなわち、CD63がCXCR4分子の細胞質膜上における発現量を負に制御している分子である可能性を示した。変異体CD63ΔNが野生型CD63よりもCXCR4への強力な発現抑制活性を有することに着目し、種々のCD63の欠失変異体を作製した。そして、N末端の細胞外領域を欠失させることによりその活性が増強することを見出した。次に、「2006年度の実験計画」どおり、細胞内CXCR4分子と細胞内小器官マーカー分子を共染色する蛍光抗体多重染色法を確立した。この方法を用い、変異体CD63ΔN導入により細胞内に局在するCXCR4は特定の細胞内小器官にリテンションしていないことを明らかにし、CXCR4の多くはゴルジ体ならびに後期エンドソームに存在することを証明した。 CD63分子が、細胞内のCXCR4分子の輸送系を制御する因子のひとつであることを見出した結果を学術論文としてまとめ、Traffic誌に投稿した。2006年12月に改訂後に掲載が可能であるとの判断を受け取り、現在再実験を行い、再投稿への準備を進めている。
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Research Products
(2 results)