2006 Fiscal Year Annual Research Report
契約法における解除制度の役割および要件論に関する研究-フランス法の分析を通じて-
Project/Area Number |
06J03499
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
福本 忍 立命館大学, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 民法学 / 契約法 / 契約の解除 / フランス債務法 / 裁判官による介入 / コーズ理論 / 解除の基礎理論 / 解除条項 |
Research Abstract |
フランス民法典債務法改正草案の公表(民法1184条〔法定解除〕が改正され、「黙示の解除条件」構成も廃棄される。)、および、齋藤哲志「フランスにおける契約の解除(1、2・完)-解除訴訟における判事の役割を中心として-」法学協会雑誌123巻7号113頁以下および8号179頁以下(2006)の公表(フランス解除法制の本格的研究)により、研究実施計画にはその進捗状況にやや遅れを生じたが、フランス約定解除基礎理論研究ともつながる本報告書11記載の論説を公表した。本稿では、現代フランス民法学説を中心に法定解除の法的基礎の構造変容を分析した。そこから、この構造変容は各法的基礎が自らの理論を発展させるのに不可欠な手段だったとの知見を得た。また、上記改正草案も検討し、約定解除の一般規定が初めて導入されるとの知見も得た。他方、執筆中のフランス約定解除に関する論説は、19世紀フランスの判例・学説が解除条項と解除条件の関係をどう捉えたかを扱う。現在、判例理論とそれに対する各学説の対応を分析している。解除条項の文言が曖昧な場合に裁判官が行使する権限についても分析中である。本論説は、研究課題上重要な位置を占めるものとなる。得た知見として、註釈学派初期の学説は、解除条項、1183条の解除条件、1184条の法定解除、三者の法的関係を明確にしなかった。他方、最盛期の学説は、解除条項を独自の分析対象として類型化を図った。なお、破毀院判例の分析は、裁判例の検討が不充分であり、分析を急いでいる。併行して、解除に関するわが国民法典(現行法の原始規定)の編纂過程(法典調査会議事速記録)を検証した。出席委員のなかに、「黙示の解除条件」構成の影響を受けている者もいたという知見を得た。 以上
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Research Products
(1 results)