2007 Fiscal Year Annual Research Report
地域通貨を媒介とした人間関係ネットワークに関する研究-スウェーデンの事例をもとに
Project/Area Number |
06J03523
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中里 裕美 Kyoto University, 経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 地域通貨 / 経済社会学 / 社会ネットワーク論 / ソーシャル・キャピタル / ツーシャル・サポート / 社会ネットワーク分析 |
Research Abstract |
まず報告者は、7月に欧州組織学会(EGOS)で昨年度までの研究成果の報告を行った。本学会への参加は、ストックホルム商科大学のFilip Wijkstromらの研究グループ(スウェーデンの非営利組織の研究を行っている)との意見交換の場となった。続いて、地域通貨活動による社会的効果(ソーシャル・キャピタル創出、ソーシャル・インクルージョン促進等の、経済的効果に還元されない効果)創出のメカニズムの解明にかんして、二つの地域通貨組織(兵庫県旧村岡町の「1むらおか」とストックホルムの「Bytesring Stockholm」)を対象にした質問紙調査から得た会員のソーシャル・サポート得点と取引記録データをもとに、地域通貨取のソーシャル・サポート機能について検証した。その結果、地域通貨は会員にとって周辺的で補完的なサポートの供給源として機能し、家族や友人等からは得られない弱い繋がりの強さを利用できる(「浅く」かつ「多様性に富んだ」)サポートの供給源であることを明らかにした(この内容は9月の経済社会学会にて報告され、現在学会誌に論文を投稿中)。また、地域通貨の社会的効果の創出に関連する、「ソーシャル・キャピタル」論の見地からの研究も行い、『文部科学省科学研究費補助金研究成果報告書』(2007年5月)、日本NPO学会での研究報告(2008年3月)、NPO研究情報センター主催の『新NPO辞典』(2008年刊行予定)での「地域通貨」と「ソーシャル・キャピタル」にかんする用語の解説を行った。研究対象をこれまでのスウェーデンから北欧諸国に広げるという研究計画に対しては、2008年3月1日〜3月6日の間デンマークに渡航し、デンマークの地域通貨組織関係者へのインタビュー調査を実施しており、その成果についても逐次公表していく予定である。
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Research Products
(6 results)