2006 Fiscal Year Annual Research Report
戦後沖縄における保革対立軸の形成過程-復帰運動の革新共闘体制化過程を中心に-
Project/Area Number |
06J03534
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
櫻澤 誠 立命館大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 沖縄戦後史 / 復帰運動史 / 社会運動史 / 教員 / 保守 / 革新 |
Research Abstract |
本年度は、まず、復帰思想の形成過程の検討成果として「戦後初期の沖縄知識人における歴史認識の再構築について-永丘智太郎を例に-」(『立命館史学』27、2006年11月)を発表した。同稿では、戦後初期の沖縄人指導者の一人である永丘智太郎の、一度沖縄を独立させた上で連邦体として日本へ復帰する、という帰属観がどのように生成され、またそれが変容したのかについて、大正末(1920年代前半)以来の永丘の言論活動を検討することによって明らかにした。 また、研究史状況の整理と課題および私自身の研究の意義を示すものとして「戦後沖縄復帰運動史研究の課題-保革対立軸の形成過程に着目して-」(『新しい歴史学のために』262、2007年2月)を発表した。同稿では、歴史学を含む諸学問によって自明とされてきた「復帰」に対して、近年多様な議論が可能となっているが、未だに保革対立軸は自明とされており問題は多く、それを克服するために、沖縄独自の保革対立軸の形成過程を明らかにする必要性があるという提起を行うとともに、現時点での検討成果を示した。 さらに、資料収集としては、沖縄県公文書館、沖縄県立図書館、那覇市歴史博物館、琉球大学附属図書館などにおいて、沖縄戦後史に関する文献・文書等の収集に努めた。特に、沖縄県公文書館所蔵の「琉球政府文書」「沖縄県祖国復帰協議会文書」や地元政治家の寄贈資料など、一次史料の収集を行った。また、沖教組教育研究所において、復帰前の史料に関する調査および収集を行った。また、1950〜60年代に奉職した元教員(当時の「青年教員」)に対する聞き取りも継続的に行った。これらの成果をもとに、既発表論文についても加筆修正等の再検討を行った。
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Research Products
(2 results)