2007 Fiscal Year Annual Research Report
シオニズム研究-イスラエルにおける生成・変容と日本での受容-
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06J03644
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
金城 美幸 Ritsumeikan University, 大学院・先端総合学術研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イスラエル:パレスチナ / シオニズム / 歴史記述 / ナショナルズム / 現代史 / 地域研究 |
Research Abstract |
報告者の研究内容は、イスラエルにおけるシオニズム・イデオロギーの歴史的な生成・変容過程、および日本における受容過程を考察するものである。報告者は、前年度より、1990年代にイスラエルにおいて登場した「ポスト・シオニズム」と呼ばれる潮流についての分析作業に取り組んできており、今年度、「日本中東学会」での口頭発表においてその成果を発表した。ここでの発表では、伝統的シオニズムの差別的性格を脱却する可能性を持つものとして評価されてきた「ポスト・シオニズム」の思想が、その内実において、それ以前のシオニズムの論理を内在させてきたことが論じられた。また、今年度の新たな作業としては、1990年代以降の「ポスト・シオニズム」の潮流を背景として展開された、イスラエル建国史についてのイスラエル人・パレスチナ人の歴史認識論争を取り上げた。この両者の歴史認識については、研究ノート(先端総合学術研究科紀要『CORE ETHICS』)において、論争史の記述を行った。これまでの国内の研究において、シオニズム・イデオロギーは決して一枚岩ではなく、重層的・多様であることが指摘されつつも、その内容に踏み込まれることは少なかった。今年度の研究成果では、1990年代において登場したシオニズム・イデオロギーの新しい形を、従来的なシオニズム・イデオロギーとの関係から論じたことは、イスラエル研究において新しい問いを投げかけるものだと考えている。
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Research Products
(1 results)