2007 Fiscal Year Annual Research Report
sd-pf殻領域の安定、不安定原子核におけるクラスター相関と分子的構造の研究
Project/Area Number |
06J03703
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木村 真明 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 原子核構造 / 不安定核構造 |
Research Abstract |
研究課題、1.0,Ne同位体の分子構造2中性子過剰Mg同位体の基底状態、励起状態の包括的研究を行った。具体的成果、知見は以下の通り。 1.中性子過剰0同位体の励起状態に従来知られていない新たなクラスター構造が存在することを初めて理論的に予言し、その成果が、"Progress of Theoretical Physics"誌に掲載された。この励起状態の実在を示唆する実験データが得られ始め、今後の研究の進展が期待できる。また、F同位体を通じてαクラスター構造が現れ、特に21,23Fでは分子軌道構造を持つこと、また、中性子数の増加に伴い、αクラスター状態の励起エネルギーが非常に低くなることを予言し、学術雑誌に投稿した。 2、中性子過剰Mg同位体ではN=20魔法数が破れていることが古くから知られており、その基底状態及び、第一励起状態の実験、理論研究が精力的に行われてきた。その一方、励起回転帯に関する研究は十分とは言い難い。反対称化分子動力学を用いて、Mg同位体及び、その近辺の核の励起スペクトルを包括的に研究した。具体的には、各原子核の励起スペクトルとその間の遷移確率及び、親核からおよび、娘へのβ崩壊確率を系統的に求めた。その結果、N=20魔法数が破れている原子核では殻構造の変化に伴い、非常に多くの低励起状態が現れること、また、N=20魔法数が破れていない原子核においても、その前駆的現象として、低励起の他粒子他空孔状態が現れることを予言した。また、こうした、魔法数の破れに伴う励起スペクトルの変化は電磁遷移及びβ遷移確率に大きく反映され、実験的に検証可能であることを指摘した。成果は二編の論文として、査読付雑誌に投稿中および投稿準備中である。
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