2006 Fiscal Year Annual Research Report
超広帯域分光法による凍結保護物質のガラス化ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
06J03811
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
池 祐治 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ガラス形成物質 / エチレングリコール / 糖 / テラヘルツ時間領域分光 / タンパク質 / リゾチーム / ブリルアン / 弾性的性質 |
Research Abstract |
超広帯域分光法は、ガラス化過程に現れる広い時間スケールのダイナミクスを観測する強力な測定法である。凍結保護物質などのガラス形成物質における分子協同運動を明らかにすることを目的として研究を行ってきた。研究対象は生体保護効果を有する多価アルコール、糖類を用い、水分子が形成する水素結合ネットワークへの寄与や動的挙動の変化に焦点を当てた。はじめにテラヘルツ時間領域分光法により、エチレングリコール水溶液のテラヘルツ帯複素誘電率の挙動を明らかにし、その成果を低温生物工学会で報告した。Dual thickness法により、未知の誘電率物質でも一意にその値を決定することを示した。また、糖類の動的熱容量測定に関する結果は2006年8月にアメリカのコロラド州で開かれた熱物性の国際会議Sixteen symposium on thermophysical propertiesで口頭発表を行った。 水は生物の生命維持において重要な役割を担っており、生体の大部分を占めている。タンパク質は水がなければ働くことができず、水の存在が大きく関わっている。タンパク質の基本的な性質、挙動を明らかにすることにより、タンパク質分子の水和効果の理解を促進させることが期待される。本研究では、卵白リゾチームを用い結晶化を施し、その温度変化、湿度変化の測定を試みた。結晶化により正方晶系の卵白リゾチーム結晶が得られ、顕微ブリルアン散乱測定を行うことにより、脆弱で微小なタンパク質結晶の弾性測定を可能にした。その成果を2006年11月に超音波シンポジウム、2007年3月春の応用物理学会で発表を行った。
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Research Products
(2 results)