2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J03817
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
飯塚 裕子 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Scクラスター内包フラーレン / 構造決定 |
Research Abstract |
本研究は、Scクラスター内包フラーレンの特異な構造に起因した新規な特性の探求と、それらの機能性の発現に向けて、Scクラスター内包フラーレンの反応性を解明し、それらの知見を基に化学修飾による分子変換を行い、その構造解析を目的とする。発現した事象については、共同研究として遂行する理論計算と実験結果とのインタープレイにより考察した。平成18年度は以下3点の研究成果を得た。 (1)Scクラスター内包フラーレンの反応性を明らかにした。 代表的なScクラスター内包フラーレンとして、Sc_3C_2@C_<80>、Sc_3N@C_<80>、Sc_2C_2@C_<82>、Sc@C_<82>の酸化還元特性を明らかにすると共に、ケミカルプローブとして有用なジシリランとの光及び熱反応を検討し、Scクラスター内包フラーレンの反応性を解明した。また理論計算により、それぞれのHOMO-LUMOを明らかにした。 (2)Scクラスター内包フラーレンの構造を解明した。 Sc_3C_2@C_<80>、Sc_3N@C_<80>、Sc_2C_2@C_<82>、Sc@C_<82>の^<13>C NMRと^<45>Sc NMR測定による構造決定に成功した。Sc_3C_2@C_<80>、及びSc@C_<82>は常磁性を有するためNMR測定が困難とされてきたが、申請者はSc_3C_2@C_<80>、及びSc@C_<82>を一電子還元し反磁性のアニオン体を合成することで、この問題点を解決した。また、金属内包フラーレンは球状構造を有するため単結晶X線構造解析が困難であるが、申請者は剛直な骨格を有するアダマンタンジアジリンとの光反応により、効率よくアダマンタン誘導体を合成し、誘導体の単結晶X線構造解析に成功した。Sc_3C_2@C_<80>とSc_2C_2@C_<82>の誘導体の単結晶X線構造解析は、特異な分子C_2がフラーレンケージに内包されていることを単結晶X線構造解析により証明した初めての例である。
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Research Products
(2 results)