2006 Fiscal Year Annual Research Report
シトクロムcの作用機構の解明と新規燃料電池への応用
Project/Area Number |
06J03822
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高山 真一 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シトクロムc / 酸化還元電位 / 電子伝達反応 / マーカス理論 / 再配置エネルギー / ヘムタンパク質 / 青色銅タンパク質 / 代謝 |
Research Abstract |
緑膿菌Pseudomonas aeruginosa由来のシトクロムc_<551>(PA)は、補欠分子族としてヘムを持つ電子伝達タンパク質である。PAの酸化還元電位(E_m)はpH5.0で約320mVであるが、pHが上昇するに伴いpH5-8の範囲で約60mV負にシフトするという特徴的な性質を持つ。このようなE_mのpH依存性はヘム側鎖17プロピオン酸基(17-HP)の電離に起因することが知られている。本研究ではPAのE_mの変化が電子移動反応速度に及ぼす影響を明らかにするため、アミノ酸変異により170-320mVの範囲で様々なE_mを示す一連のPA変異体を調製し、PAおよび変異体から青色銅タンパク質であるプラストシアニン(PC)またはラスチシアニン(RC)への電子移動反応速度(K_<obs>)を解析した。 PCとRCのE_mはpH6-8の範囲でほとんど変化せず、PCは370mV、RCは600mVのE_mを示す。したがって、PAとPCまたはRCとのE_mの差(ΔE_m)はpH6よりpH8で大きくなる。そこで、pH6-8でPAからPCへのK_<obs>を求めたところ、pHが高いほどk_<obs>が大きくなるという結果が得られた。一方、PAの17-HP近傍に変異を導入し、そのpK_aを低下させることによってpH6-8で一定のE_mを示すようにしたF34Y/E43Y二置換変異体では、PCへのk_<obs>が同様のpH範囲でほとんど変化しなかった。このことから、PAの17-HPの電離はレドックスパートナーとの電子移動反応速度調節に重要であることが示唆された。 さらにPAの他の変異体とPCまたはRCとの反応におけるk_<obs>も同様に測定し、k_<obs>、をΔE_mに対してプロットしたところ、得られたプロットはマーカスの式によって良くフィッティングすることができ、電子伝達反応の再配置エネルギーを380±50meVと求めることができた。
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Research Products
(3 results)