2006 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母におけるGPIアンカータンパク質の品質管理機構に関する研究
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06J03875
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
藤田 盛久 独立行政法人産業技術総合研究所, セルエンジニアリング研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | グリコシルフォスファチジルイノシトール / GPIアンカー型タンパク質 / 脂質リモデリング |
Research Abstract |
今年度はグリコシルフォスファチジルイノシトール(GPI)アンカー型タンパク質の品質管理機構に重要な役割をしているBST1遺伝子(Fujita et al.(2006)Mol.Biol.Cell)をもとに出芽酵母において遺伝的相互作用の系統樹を用いて、新規遺伝子PER1を発見し、解析を行った。解析の結果、この遺伝子産物はGPIアンカー型タンパク質の脂質部分の改変(脂質リモデリング)に必要な新規な反応を行っていることがわかった。さらに、この脂質リモデリングにおいてGPIアンカー部分のsn-2と呼ばれる部分の脂肪酸を切断する酵素活性があることを突き止めた。通常、GPIアンカー型タンパク質は脂質ラフトと呼ばれる膜ドメインに濃縮され、機能を制御されることが明らかとなっているが、PER1遺伝子を破壊した細胞ではラフトへの濃縮が起こらなくなった。さらにPER1のヒトホモログ遺伝子PERLD1を酵母で発現させたところ、PER1破壊株の表現型を相補し、PER1の機能ホモログであることが明らかとなった。また大阪大学の木下研究室との共同研究を行い、PERLD1遺伝子は哺乳動物細胞においてもGPIアンカー型タンパク質の脂質リモデリングに必要であり、脂質ラフトへの濃縮に必須であることが明らかになった。これらの結果はFujitae et al.(2006)Mol.Biol.CellおよびMaeda et al.(2007)Mol.Biol.Cellとして報告した。 今年度の9月30日よりGPIアンカー型タンパク質の生合成と輸送の分野において著名な研究者であるスイス連邦・ジュネーブ大学のHoward Riezman教授のもとに留学しており、GPIアンカー型タンパク質の安定性と輸送に非常に重要な役割をしているセラミドの輸送とGPIアンカー型タンパク質の関連について研究を行っている。
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Research Products
(4 results)