2006 Fiscal Year Annual Research Report
博物館事業よりみた「満洲国」における「民族協和」の実態に関する研究
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06J03934
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大出 尚子 筑波大学, 大学院人文社会科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 満州国 / 「満州国」国立中央博物館 / 民族協和 / 開拓政策 / 満鉄開拓科学研究所 / 「満州国」国立博物館 / 旧植民地関係資料 |
Research Abstract |
本年度の研究実績は次のとおりである。 1、口頭発表 (1)「『満洲国』の『民族協和』の理念と実相-満洲開拓政策を中心に-」日本現代中国学会修士論文報告会(於:法政大学),平成18年5月13日。本発表では、「満洲国」の「民族協和」の実相とは如何なるものだったのかを、満洲開拓政策推進のために組織された満鉄開拓科学研究所の活動を中心に論じ、さらに「満洲国」国立中央博物館との関連性を実証して、「満洲国」における両機関の特異性を明らかにした。 (2)「満洲移民政策の転換と満鉄開拓科学研究所の設立」戦後「満洲」史研究会(於:早稲田大学アジア太平洋研究センター),平成18年7月1日。本発表では、1939年1月の「満洲開拓政策基本要綱」決定に伴う開拓政策の大きな転換に着目し、この年に満鉄開拓科学研究所が設立されたことにみられるように、開拓政策において現地の調査研究の必要性が認識されるようになったことを考察した。 (3)「『満洲国』国立博物館の設立をめぐって」滋賀大学経済学部ワークショップAsian Studies Workshop弐(於:滋賀大学陵水会館),平成18年12月1日。本発表では、下記2(1)による資料調査の成果をもとに、「満洲国」国立中央博物館の前史にあたる「満洲国」国立博物館の設立をめぐる問題について(1)「満洲国」における博物館事業の行政的位置づけ及び基本政策を概観し、(2)「対満文化事業」=「日満文化協会」による博物館設立に向けた動き,そして(3)清朝の遺臣たちの関与,以上3つの考察をとおして「満洲国」の文化政策の特質について検討した。 2、資料調査 (1)平成18年8月19〜26日、中華人民共和国の遼寧省档案館および遼寧省図書館において、「旧日本語文献資料」の調査・閲覧・収集を行った。中国における旧植民地関係資料の公開状況を確認するとともに、博物館関連の資料収集に成功した点で成果があった。 (2)平成18年11月22〜30日、滋賀大学経済経営研究所において、「石田記念文庫」および旧植民地・満蒙関係資料の調査・閲覧・収集を行った。特に戦前に作成・出版されたもので、日本国内に残存部数の僅少な、あるいは滋賀大のみに所蔵が確認できる資料を閲覧することができた。 (3)平成19年2月26〜3月5日、北海道大学・小樽商科大学・網走北方民族博物館において、朝鮮・台湾・樺太・満洲の博物館に関する資料の調査・閲覧・収集を行った。
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