2007 Fiscal Year Annual Research Report
博物館事業よりみた「満洲国」における「民族協和」の実態に関する研究
Project/Area Number |
06J03934
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大出 尚子 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 満洲国 / 「満洲国」国立博物館 / 日満(満日)文化協会 / 奉天故宮博物館 / 博物館事業 |
Research Abstract |
1.雑誌論文 (1)「『満洲国』の博物館建設-国立博物館の成立過程と収蔵品-」『史境』第55号,歴史人類学会,48〜63頁。本論文では,「満洲国」国立博物館の成立に関与した組織及び人物の足跡を追いながら「満洲国」の博物館建設がいかにして行われたのかを検討し,また展示物の収集過程と展示およびその変遷から,博物館のもつ特徴と政治性およびその変化を明らかにした。 2.学会発表 (1)「『満洲国』国立博物館の成立過程と収蔵品-『日満(満日)文化協会』および清朝の遺臣たちの関与を中心に-」第44回野尻湖クリルタイ[日本アルタイ学会],平成19年7月14日。本発表では,考証学や金石学を身につけた羅振玉や宝煕らの知識が重用されていたことなどから,「満洲国」国立博物館の設立とは,「日満(満日)文化協会」関係者=日本のアカデミズムと清朝の遺臣たちとの協同事業として進められ,かつ彼らの間で対話・協力関係が成立していたことを明らかにした。 (2)「『満洲国』初期の文化事業と国立博物館の成立」第17回近現代東北アジア地域史研究会大会,平成19年12月8日。本発表では,奉天故宮博物館の閉鎖や,博物館の展示の中心が民間収集品から東亜考古学会の学術発掘品へと転換したことを検証し,結果として博物館活動において清朝色が薄められていくとともに,鑑定にあたっていた清朝の遺臣たちの活躍する場が狭められていったことを明らかにした。
|