2007 Fiscal Year Annual Research Report
人間の知覚と運動機能における他人の行動の認識処理過程とその利用過程の解明
Project/Area Number |
06J03984
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
池田 華子 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 手続き運動学習 / 試行錯誤 / エラー / 学習環境 / 発達障害 |
Research Abstract |
前年度に引き続き人が他者の運動を観察する時の知覚処理過程の解明と、それをその人自身の運動学習に利用する仕組みを調べるための、運動学習過程の情報処理についての研究を行った。平成19年度の研究実施状況及び成果発表状況は以下の通りである。1)手続き運動学習過程において、環境的文脈による学習の向上が見られるかを調査した。その結果、環境文脈が固定された条件では、学習初期の運動速度がより速くなる傾向が示された。このことから、手続きと環境的な文脈が連合して学習されることと、環境的な文脈の影響が学習段階によって異なるという示唆が得られた。この成果は、電子情報通信学会ヒューマン情報処理研究会と、同技術研究報告書に発表した。2)手続き運動学習過程において、初期の試行錯誤段階での失敗経験量がその後の熟達過程に及ぼす影響を調べた。その結果、失敗経験が全くない時に、熟達過程でのエラー率が最も少なく、速度向上も早い段階で観察された。一方、失敗経験のある条件では、失敗経験量が多い方が、熟達過程での遂行速度の向上は早い段階で観察されたが、逆に熟達過程でのエラー率は大きかった。本研究から、失敗経験が全くない場合に学習が最も効率的に進むという可能性と、学習初期段階での失敗経験は、その量やタイミングの違いが、学習の精度と速度に異なる影響を及ぼす、という示唆が得られた。以上の成果は、国際学会であるAssociation for the Scientific Study of Consciousnessと、日本基礎心理学会において発表した。3)広汎性発達障害児が、手続き運動を学習する際の特徴を検討した。その結果、学習期間全体を通して、発達障害児の方が定型発達児よりも遂行速度が遅い傾向がみられた。更に、発達障害の各疾患によって、感覚情報処理過程、認知処理過程、運動実行過程といった、手続き運動に関わる複数の情報処理過程の、異なる過程に問題を抱えている可能性が示された。この成果は、自閉症スペクトラム学会と、日本児童青年精神医学会で報告した
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Research Products
(7 results)