2006 Fiscal Year Annual Research Report
人間の知覚と運動機能における他人の行動の認識処理過程とその利用過程の解明
Project/Area Number |
06J03984
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
池田 華子 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 手続き運動学習 / 顕在的知識 / エラー / 近赤外分光分析 |
Research Abstract |
本研究員は本研究課題において、他者の運動観察時の知覚処理過程の解明と、それを自身の運動学習に利用する仕組みを調べるために、運動学習過程についての研究を行った。2006年度の研究実施状況は以下の通りである。 1.視運動系列学習において、顕在的な視空間情報の知識が正確さと遂行速度に対して異なる影響を及ぼすことを示した。整列した視覚情報への反応学習後に、同じ視覚刺激を回転させて遂行させたところ、回転の手がかりを利用した場合は失敗の値は減少したが、遂行速度には影響がなかった。この結果は国際学会Association for the Scientific Study of Consciousnessで成果を発表し、高い評価を受けた。 2.熟達した運動遂行時の運動タイミングについて解析を行い、正答時とエラー時との特徴的差異を示した。視運動手続き学習課題を用いて、課題に熟達した時の、系列間の反応時間を正解時とエラー時とで比較した。その結果、エラー時は視覚刺激が提示されてから、反応するまでの時間が、正答反応時よりも遅かった。しかし、エラー時のみの反応時間ではなく、エラーに至るまでの運動手続きの反応時間を正答時の正答反応にいたるまでの反応時間と比較したところ、エラー時の方が正解時より速いという特徴が示された。この結果は電子情報通信学会ヒューマン情報処理研究会と、同技術研究報告書に発表された。 3.近赤外分光分析を用いて、手続き系列運動学習についての神経活動を調べた。実験の結果、前頭連合野、補足運動野、頭頂連合野といった皮質領域が系列運動の学習に関わっていることと、学習して熟達した後の運動に特有な処理にはより皮質下の脳領域が関係している可能性が示唆された。この結果は平成19年の国際学会the Organization for Human Brain Mappingで発表することが決まっている。
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Research Products
(1 results)