2007 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子産物PTENの制御因子PICT-1による発癌制御の検討
Project/Area Number |
06J03988
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡原 史明 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 癌抑制遺伝子 / 細胞増殖 / アポトーシス / ストレス応答 / タンパク質分解 / 細胞内局在変化 |
Research Abstract |
昨年度の研究成果として、癌抑制候補因子PICT-1の発現抑制が癌抑制遺伝子産物PTENの機能損失を誘導し、その結果、細胞の増殖亢進や不死化を引き起こすことを突き止めた。 本年度は、PICT-1による癌制御の分子レベルでの理解を深める目的で、PICT-1に対する制御系および新たな機能の探索を試みた。その結果、多様なキナーゼ阻害剤や抗癌剤、細胞傷害性サイトカインなどのアポトーシス誘導性刺激がPICT-1タンパク質の急速な分解を引き起こすことを見いだした。また、種々のプロテアーゼ阻害剤を用いて、細胞内におけるPICT-1の分解経路の同定を試みた結果、PICT-1がプロテアソーム依存性の選択的分解を受けていることが明らかになった。さらに、E1酵素の温度感受性変異株ts85細胞を用いて、PICT-1分解のユビキチン依存性を評価したところ、E1酵素が不活性化している状態(非許容温度培養)においても、ストレスに応答したPICT-1の分解が観察された。すなわち、細胞外からの様々なストレス刺激に応答したPICT-1の選択的な分解が、ユビキチン非依存的に、未成熟なプロテアソーム系(20Sプロテアソーム)を介して実行されている可能性が示された。また、ストレスに応答してPICT-1が核小体から核質や核膜、さらには細胞質へとその局在を変化させていることを見いだした。以上の結果から我々が同定したPICT-1は、様々な細胞外環境に対応して発現量や細胞内局在をダイナミックに変化させていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)