2007 Fiscal Year Annual Research Report
洪水時における小規模河床形態の再現および土砂輸送機構の解明
Project/Area Number |
06J04079
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川村 里実 (山口 里実) Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 小規模河床形態 / 流砂量 / 非定常流量 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,非定常流量下における鉛直二次元流れの河床変動計算によって洪水時の小規模河床形態を再現することを試みた.昨年度は,流量を徐々に増加させた後に徐々に減少させることによって,流量の変化に伴うデューン床→平坦床→デューン床という小規模河床形態の遷移過程を再現し,この遷移過程に伴う河道抵抗および土砂輸送に寄与する有効せん断力の複雑な変動が再現された.しかし,流量の増加・減少の変化過程(徐々に変化するのか急激に変化するかなど)によって遷移過程に現れる傾向が異なる可能性がある.また,本研究における数値計算では,流砂量および河床変動の計算に中川・辻本(1980)による確率過程モデルを用いており,重要なパラメータの一つである砂粒のstep lengthの与え方によって非定常流量下での計算において遷移過程に現れる傾向が異なる可能性がある.そこで本年度は,この再現計算において様々なパターンで流量を増加・減少させることによって,小規模河床形態の遷移過程に現れる傾向の違いについて再現・検討を行った.その結果,流量を急激に変化させた場合は河床形態の遷移過程に履歴性が現れるのに対して,流量を徐々に変化させた場合には履歴性の消失することが確認された.また,流量を急激に変化させて行った非定常流量下における小規模河床形態の実験結果を入手し,この実験について本研究の河床変動計算による再現を試みるとともに,砂粒のstep lengthについて検討を行った.実験では,流量の変化量が小さいために河床形態の遷移過程は現れていないものの,非定常流量化における小規模河床形態の変動過程(波長や波高の変化)の特徴が現れており,本研究の河床変動計算においても,妥当なstep lengthの値の下でこの特徴を良好に再現することができた.
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