2008 Fiscal Year Annual Research Report
消化管における難消化性糖類の受容分子の同定と細胞生理学的解析
Project/Area Number |
06J04092
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 卓弥 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 難消化性糖類 / カルシウム吸収 / タイトジャンクション / Caco-2細胞 |
Research Abstract |
昨年度までの実験により、DFAIIIなどの難消化性糖類はその水和特性により、消化管上皮細胞刷子縁膜の水分子の浸透性に影響し、細胞間経路のカルシウム吸収を促進していることが示唆された。今年度は、難消化性糖類の持つ水和特性と吸収促進作用の関連性を解析した。難消化性糖類による吸収促進作用は、経上皮電気抵抗値(TER)を指標とし、また水和特性の評価はNMRを用いた^<17>O-T1緩和時間により実施した。難消化性糖類としては、これまで実験に使用してきたDFAII,DFAIV,FOSに加えて、糖アルコール(Erythlitol、Xylitol、sorbitol、Maltitol、Lactitol)を使用した。 溶媒のT1緩和時間は、20.8msとなった。難消化性少糖類溶液では、Erythlitolが最も高値を示し、続いてXylitolとSorbitolが高値を示した。また、DFAIII、DFAIV、Maltitol、Lactitolが同程度に低値を示し、FOSが最も低値を示した。すなわち、Erythlitol>Xylitol,Sorbitol>DFAIII,DFAIV,Maltitol,Lactitol>FOSの順に小さくなった。一方で、これらの難消化性少糖類よるTER低下作用は、Erythlito<Xylitol,sorbito<Maltitol、Lactitol、DFAIII,DFAIV,FOSとなり、^<17>O-T1緩和時間と負の相関関係が認められた。 総括すると、TER低下作用と^<17>O-T1緩和時間との相関関係の解析により、難消化性少糖類によるTER低下作用は、その水和特性により発現していることが提案された。難消化性少糖類は、Caco-2細胞刷子縁膜、あるいはTJ構成分子周囲の水分子を構造化し、脂質分子やTJ構成タンパク質に質的変化を引き起こすと考えられる。
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