2007 Fiscal Year Annual Research Report
消化管における難消化性糖類の受容分子の同定と細胞生理学的解析
Project/Area Number |
06J04092
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 卓弥 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 難消化性糖類 / カルシウム吸収 / タイトジャンクション / Caco-2細胞 |
Research Abstract |
これまでに我々は、一部の難消化性少糖類は消化管上皮細胞に直接的に作用し、アクチンフィラメント、TJタンパク質Claudin-1の変化を引き起こすことにより、細胞間経路のカルシウム吸収を促進することを示した。今年度は、刷子縁膜に各種の処理を実施し、DFAIIIの認識機序を特定することを目的とした。刷子縁膜の処理としては、細胞膜に存在する受容体タンパク質を消化するためのプロテアーゼ処理、膜タンパク質に結合する糖鎖を切断する糖鎖酵素処理、細胞膜脂質二重構造を構成するリン脂質、コレステロールの消化、除去処理、細胞膜の流動性変化処理を実施した。 難消化性少糖類DFAIIIの作用は、細胞間経路の指標の1つである経上皮電気抵抗値にて評価した。Caco-2細胞の膜タンパク質消化処理、膜タンパク質糖鎖切断処理、膜リン脂質消化処理は、DFAIIIの作用に影響しなかった。一方で、細胞膜からのコレステロールの除去、細胞膜流動性の充進処理は、DFAIIIの作用をより強くした。これらの結果は、刷子縁膜上のタンパク質やその糖鎖がDFAIIIを認識しているのではないこと、細胞膜の流動性がDFAIIIの作用に重要な役割を担っていることを示している。続いて、DFAIIIの細胞膜流動性への影響を解析した。細胞膜蛍光プローブDPH、TMA-DPHを用いた蛍光偏光解消法、およびlaurdanのスペクトル変化解析を実施したところ、DFAIIIはLaurdanのGp値を高める傾向を示し、細胞膜の水分子の透過性を低下させる可能性が示唆された。 総括すると、DFAIIIなどの難消化性糖類は、消化管上皮細胞刷子縁膜上の受容体タンパク質やタンパク質結合糖鎖に受容されるのではなく、糖類の持つ水和特性により、刷子縁膜の水分子の浸透性に影響し、細胞間経路のカルシウム吸収を促進していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)