2007 Fiscal Year Annual Research Report
電子と正孔を空間分離した量子ドットによる量子もつれ合い光子対発生の研究
Project/Area Number |
06J04122
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
定 昌史 Hokkaido University, 電子科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | II-VI族化合物半導体 / 量子ドット / 等電子中心 / 単一光子光源 / 励起子-格子相互作用 |
Research Abstract |
今年度は,昨年度注目したZnSe中のTe等電子中心(ZnSe:Te)からの発光について,その発光起源を詳細に調べた。ZnSe:TeはTe量を制御することにより発光を460nmピーク(Te_2等電子中心),472nmピーク(Te_n等電子中心),500nm〜ピーク(ZnTe量子ドット)に選択可能である。しかしながら460nm・472nmピークのいずれも発光線幅が100meV以上と大きく,不純物準位発光の利点を生かしきれていない。このピーク広がりの原因は等電子中心に局在した励起子とZnSe格子との相互作用によるものと考えられてきたが実験的証拠は皆無に近い状況であった。これは従来の試料がZnSe:Teの厚膜からなり,発光に様々なTeが寄与するためである。そこで単一Te層のみを含むZnSe膜を作製し発光特性の解明に挑んだ。Te量減少に伴い発光強度が犠牲になるが,成長後熱処理を施すことで結晶性を回復しTe等電子中心の発光を引き出すことが可能となる。 はたして,Te:0.01分子層相当の試料において無格子発光線とその格子レプリカの分離観測に成功し,従来の励起子-格子相互作用による発光広がりを裏付ける結果を得た。この結果は,等電子中心発光体を光共振器と組み合わせることで,離散的ではあるが複数の発光波長を選択可能な単一光子源の実現が可能であることを示唆している。一方で,微細加工処理による発光強度の減少は依然として課題である。微小加工時のエッチングガスの検討,成長後熱処理による結晶性の改善により発光強度の増大をはかることで単一分光の実現を目指す。
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