2006 Fiscal Year Annual Research Report
現代的言語芸術の二次的作業の諸相とその批評方法の探究-シュルレアリスムの場合
Project/Area Number |
06J04157
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齊藤 哲也 北海道大学, 大学院文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シュルレアリスム / 二次的作業 / アンドレ・ブルトン / 引用 / アンソロジー / コラージュ / オートマティスム / 前衛 |
Research Abstract |
1、「申請書」に記載したとおり、研究一年目にあたる本年度は、フランス国立図書館やパリ、ポンピドゥー・センターといった専門図書館を利用し、シュルレアリスムのアンソロジーや辞書などを構成している膨大な引用群を文献学に調査しながら、それらのデータベースを作成するという基本作業の完成が目指された。上記の目的に従って、12月にフランスに約一週間滞在し文献調査を実施した。それに合わせて、申請者が関わる分野においては世界的権威として知られるジャックリーヌ・シェニウ=ジャンドロン女史(フランス国立科学研究センター所属)らとの研究打ち合わせを行い、論文執筆のための意見交換を積極的に行った。 2、それらと平行して、問題をさらに広い文脈に接続するために、同時代の前衛作家たちの著作や、近年の哲学や言語学の領域で得られた成果を参照しつつ、シュルレアリスムの引用の戦略を理論的に語るための批評方法の探究が目指された。これらの研究成果を中間報告として、日本フランス語フランス文学学会(慶応大学、2006年5月21日)や、東京で開かれたシンポジウム(「近代のふたつの顔:「前衛」と「後衛」」、東京大学、2006年5月14日」)などで発表し、多くの研究者の意見を仰ぎながら、論文をさらに精緻なものにすることが目指された。 3、当初申請書で計画されたように、本研究の基盤となる調査作業は研究初年度でほぼ達成された。これからの研究においては、ここで得られたパースペクティブをさらに拡大し、現代的言語芸術を語るための読解モデルをさらに精緻なものにしていくことが目指される。
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Research Products
(1 results)