2006 Fiscal Year Annual Research Report
物理探査・地質情報の統合解析による内陸地震発生帯の3次元イメージング
Project/Area Number |
06J04199
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
市原 寛 北海道大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 内陸地震発生帯 / 広帯域MT法 / 重力異常 / 地殻構造 |
Research Abstract |
本年度は内陸地震発生帯(北海道弟子屈地域)における比抵抗構造および密度構造の解析を行った。比抵抗構造については、既存の広帯域MT観測データを用いた2次元インバージョンによって解析した。解析結果によると、弟子屈地域の上部地殻は高比抵抗域と低比抵抗域から成り、震源域はその境界付近の高比抵抗領域寄りに分布することが明らかとなった。 NEDO(1985)のボーリングデータによると、弟子屈地域の地下は1.83,2.25および2.60g/cm^3の密度を持つ3層の地質体から構成される。密度構造解析ではこれらの境界面の形状を解析した。既存のインバージョン手法では単一の密度境界面しか明らかにできないため、本研究では新たに遺伝的アルゴリズムを使用した三次元・三層構造のための重力インバージョン手法を開発した。解析結果によると、高比抵抗域と高密度帯、低比抵抗域と低密度体がそれぞれ対応していることが明らかとなった。 弟子屈地域における岩相、密度測定値、比抵抗測定値の対応(NEDO,1985)より、高密度・高比抵抗体は中新世の火成岩類、低密度・低比抵抗体は後期中新世以降の堆積岩類を表すと推測される。両岩体は弾性的性質が異なることから、境界部では歪が集中しやすい状態にある。震源がこの境界域付近に分布することから、この歪集中が地震発生と深く関わった可能性が高い。 上記の関係の一般性を検証するために、2004年留萌支庁南部の地震(M6.1)震源域においても比抵抗構造の解析を行った。その結果、留萌支庁南部地域の上部地殻は上位の低比抵抗層(白亜紀以新の堆積岩類に相当)と下位の高比抵抗層(ジュラ紀以前の基盤岩類に相当)から成ることが明らかにされた。震源部において、両層の境界は摺曲による複雑な形状を示し、歪集中の局在が推定される。このことは、弟子屈地域と同様に、内陸地震がローカルな歪集中域で発生したことを示す。
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Research Products
(1 results)