2007 Fiscal Year Annual Research Report
物理探査・地質情報の統合解析による内陸地震発生帯の3次元イメージング
Project/Area Number |
06J04199
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
市原 寛 Hokkaido University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 内陸地震発生帯 / 広帯域MT法 / 重力異常 / 地殻構造 / 異常位相 |
Research Abstract |
本年度は内陸地震発生帯(北海道留萌地域および弟子屈地域)において、主に三次元比抵抗構造解析を行ない、その結果を密度構造および地質情報等と比較し、地下構造が地震発生にどの様に影響するか議論を行った。 昨年度の二次元比抵抗解析により、留萌地域では背斜によって基盤が盛り上がった領域で地震が発生したことが明らかとなった。しかしながら、これらは二次元解析手法に基づいた結果であり、信頼のできる構造を得るに、三次元比抵抗モデルのフォワード解析を行った。その結果、背斜構造を支持する構造が得られた。さらに、余震域とほぼ同範囲に境界面がドーム状に盛り上がる領域が推定された。背斜およびドーム状の不均質構造は、力学的性質の異なる岩体が複雑な形状をもって接していることを示唆する。したがって、留萌地域の内陸地震はこの三次元的な不均質構造により発生した可能性がある。 弟子屈地域においては、二次元比抵抗構造では説明困難な構造である90度を超えるMTインピーダンス位相(以下、異常位相)が観測されたことから、二次元解析手法では震源域周辺の比抵抗構造を解明することが困難であった。これに対し、本研究では三次元的構造である"凸型コンダクターモデル"によって異常位相が説明できることを示した。このモデルを基にしたフォワード比抵抗モデリングにより、屈斜路カルデラ下のコンダクターおよび、そこに接する震源域には高比抵抗域の存在を明らかにした。密度解析、既存のボーリングとの比較によると、震源域の高比抵抗領域は安山岩等の"硬い"物質を、カルデラ下のコンダクターはカルデラ充填堆積物等の"柔らかい"物質を表している推定される。したがって、弟子屈地域の地震も、明瞭な力学的性質のコントラストを持つ領域に発生したことになる。また、この高比抵抗体は三次元性の高い形状を持つことから、三次元的な構造不均質が地震発生に影響したことも推測された。
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Research Products
(5 results)