2006 Fiscal Year Annual Research Report
真核生物に広く保存される新規DNA結合ドメインの立体構造と分子認識機構
Project/Area Number |
06J04215
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齊藤 伸 北海道大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 立体構造解析 / DNA結合ドメイン / NMR / 転写 / フィブロイン / 結晶化 |
Research Abstract |
FMBP-1は絹タンパク質fibroin-H遺伝子の転写制御を司る最も有力な候補の一つとして発見された。FMBP-1はそのC末端側に特徴的なDNA結合ドメインSTPRを持つ。このドメインは極めて相同性の高い4本のペプチド(R1-R4:各リピートの相同性は約80%)がタンデムに結合して一次配列を構成している。このような特徴的な一次配列を有するタンパク質の立体構造に関する報告はない。 そこでSTPRを構成する4本のペプチドについてNMRを用いて立体構造解析を行った。その結果4本のペプチドは同様な立体構造を持ち、いずれも1本の短いαヘリックスとランダムコイルから構成されることがわかった(PDBID : IVD7,IVD8,IVD9,IVDA)。pH滴定実験、特徴的なNOE connectivityパターンの解析から、これらの短いαヘリックスはいずれもGlu-1とArg-9の間で形成される塩橋、およびThr/Ser-2とGln/Glu-5の間で形成されるN capping boxにより安定化されていることが示された。 STPR全長の立体構造に関しては、CDを用いた熱変性実験から、個別に決定したペプチドの立体構造を4本連結した状態に近く、STPR全長の中で4本の短いヘリックスは相互作用せずにフレキシブルに運動していることが示唆された。さらには変異体実験から、4本のリピートは非常によく似た一次配列と立体構造を持っているにもかかわらず、DNA結合に関しては異なる役割をしていることが示唆された。 現在タンパク質-DNA複合体の結晶化を行っている最中であり、幾つか複合体の結晶を得ることに成功したが、分解能が低く立体構造解析には至っていない。今後は結晶化条件の最適化・複合体立体構造の決定を行い、4本のリピートがDNAに対してどのように配向し、特異的相互作用をしているのかについて解明したい。
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Research Products
(1 results)