2007 Fiscal Year Annual Research Report
真核生物に広く保存される新規DNA結合ドメインの立体構造と分子認識機構
Project/Area Number |
06J04215
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齊藤 伸 Hokkaido University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 立体構造解析 / DNA結合ドメイン / NMR / 転写 / フィブロイン / 真核生物 / αヘリックス / 相互作用 |
Research Abstract |
FMBP1蛋白質(fibroin-modulator-binding protein 1)は絹蛋白質フィブロインの転写制御因子の一つでありフィブロイン遺伝子の転写開始点の上流領域およびイントロン領域に存在するDNA配列(ATNTWTNTA)に特異的に結合する。FMBP1は218アミノ酸残基から成る蛋白質であり、そのC末端側(99-190a.a.)にDNA結合ドメインSTPR(score and three amino acid peptide repeat)を有する。STPRは極めて相同性の高い4本のリピート(R1、R2、R3、R4)がタンデムに連結することで一次配列を構成する。興味深いことにSTPRは真核生物に広く保存されており、進化上重要な役割をしていることが予想されるが立体構造に関する報告はない。昨年の研究報告書ではSTPRのDNA非結合状態における立体構造特性について報告した。本年度はSTPRのDNA結合状態の立体構造特性を明らかにしたので、これについて記載する。まずEMSAやプルダウンアッセイの結果、STPRは特異的DNAに対して1対1のモル比で結合することを特定した。次にCD解析から複合体形成時、STPR全長およびDNAの両者に立体構造変化が誘導されること、およびSTPR全長はαヘリックスに富んだ立体構造(ヘリックス含量:76%)を形成することを明らかにした。更に熱変性実験、限定分解実験、蛍光プローブを用いた実験から、DNA結合時、STPR全長はリジッドな球状のコンフォメーションを形成していることを明らかにした。最後に変異体を用いた解析により、STPR全長の中でDNAとの結合に関与している相互作用面を決定することに成功した。以上、本研究の結果、STPRがこれまでに報告されている様々なDNA結合ドメインとは異なる新規のDNA結合様式を有している知見を与えた。
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Research Products
(3 results)