Research Abstract |
本研究では,素粒子論における場の理論の,より統一的な記述へ向けた具体的な理論の定式化を目的として,格子上での超対称理論の導入を行い,次いで,解析的,もしくは数値的な方法によって,その性質の解析を行うことを目的としてきた.格子上の超対称性は,場の理論の正則化として構成論的に重要であるとともに,理論の非摂動的な解析への観点からも重要であり,これまでにいくつかの定式化が提唱されてきた.本研究,およびその直接の先行研究においては,格子上の超対称性が満たすべき超対称代数に立脚した独自の定式化によって,2次元の時空を考える簡単化した場合においては,具体的に格子上の超対称理論が構築されることを議論してきた.この定式化の理論的な整合性を,解析的,数値的な計算によって明らかにすること,また,より重要な4次元の場合へと拡張することが具体的な課題である. 本年度は,このような観点から,まず上述の定式化の整合性を検証し,非可換な超空間においては,整合的な理論が得られることが明らかになってきた.これは主に海外での共同研究等を通して進められた.これにより,この定式化は,超対称性の正則化にはある種の非可換性が本質的であることが示唆される.非可換な場の理論に関しては,これまでに様々な研究がなされてきているが,これらの結果を本研究の観点で考察することが重要であると考えられる.また,4次元の場合にも,本質的な構造は同様であり,非可換性な超空間において,整合的に理論が定式化できることが明らかになりつつある.数値計算的な検証は今後の課題であるが,これらの解析から,本研究における定式化によって,格子上の超対称性に関する新たな知見が得られたと考えている.
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