2006 Fiscal Year Annual Research Report
北太平洋の経年〜数十年変動メカニズム:0.1゜数値計算結果と観測データー解析
Project/Area Number |
06J04219
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 克徳 北海道大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 海表面高度 / 渦解像度モデル / 十年変動 / 長波ロスビー波 / 中規模渦 |
Research Abstract |
本年度は地球シミュレーター上で数値積分された海洋大循環モデルであるOFESの出力結果と衛星高度計データを用いて,海表面高度の海盆:スケールの変動と,その変動に伴う中規模渦などの小規模な空間スケールの変動について解析を行った.海盆スケールの海表面高度変動と関連して,北太平洋の黒潮続流域では続流の蛇行や中規模渦等の小規模な空間スケールの変動が生じている,これら小規模な空間スケールの変動について解析を行うために,海表面高度偏差のデータから渦の移動ベクトルを計算するアルゴリズムを提案した.この手法を用いることにより,過去の研究では得られなかった渦の移動ベクトルの格子化データを作成することが可能となる.この移動ベクトルの格子化データを用いて,来年度は衛星データとOFESデータの中規模渦の移動ベクトルの比較と,海盆スケールの海表面高度変動に伴う中規模渦の変動についての解析を行う予定である.また,南太平洋の海表面高度変動についてもOFESと衛星高度計データを用いた解析を行った.OFESのデータの解析から南太平洋西部で大きな振幅を持ち,1970年代後半に海表面高度の低下のトレンド,1990年代後半に上昇のトレンドを持つ,十年スケールで変動するモードを同定した.この変動は衛星高度計や潮汐計による観測データとも整合的であった.この変動のメカニズムを考察し,この変動は主に風応力により駆動される線形長波ロスビー波で説明されることを明らかにした.また気候変動との関係として,過去の研究により示唆されていた南極振動ではなく,エルニーニョの十年スケール変動に伴う大気変動が重要であることを明らかにした.
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