2006 Fiscal Year Annual Research Report
下部マントル条件でのペロブスカイト相とポストペロブスカイト相への鉄とアルミの固溶
Project/Area Number |
06J04234
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
濱根 大輔 (西尾 大輔) 北海道大学, 大学院 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ペロブスカイト相 / ポストペロブスカイト相 / 下部マントル / アルミ / 鉄 / 分配 |
Research Abstract |
地球下部マントルの最も主要な構成物質であるペロブスカイト相およびポストペロブスカイト相への鉄とアルミの固溶に関して、超高温高圧合成実験とその解析を行った。本年度は、ペロブスカイト相およびポストペロブスカイト相間における三価鉄とアルミの分配に注目して研究を行った。 地球下部マントルにおける主要な珪酸塩鉱物相である、カルシウムシリケイトペロブスカイト(Ca-Pv)およびマグネシウムシリケイトペロブスカイト(Mg-Pv)の共存関係において、Mg-Pvは三価鉄およびアルミの最も主要なホストであることが本研究によって明らかとなった。三価鉄とアルミはカップルとなった挙動を示し、両ペロブスカイト間で分配されることも同時に明らかとなった。また、下部マントルの上部で、ペロブスカイト相は構造中に酸素の欠損を持つことが、本研究から明らかにされた。すなわち、地球下部マントルに存在する三価鉄およびアルミはMg-Pv中で固定され、下部マントルの三価鉄量はMg-Pv中の固溶量とほぼ一致することを示す。 三価鉄とアルミの存在によるペロブスカイト相-ポストペロブスカイト相の相転移圧への影響を放射光X線観察によって調べた。三価鉄とアルミの存在によってポストペロブスカイト相への相転移圧は、純粋なMgSiO_3に比べてかなり上昇することが明らかとなった。三価鉄とアルミが存在する場合、ペロブスカイト相とポストペロブスカイト相は約数10ギガパスカルの圧力領域に渡っての二相が共存することも明らかとなった。これらのことから、生成相はMgSiO3-FeAlO3で表される仮想的2成分系に振る舞うこと、また、ポストペロブスカイト相はペロブスカイト相に比べて相対的に三価鉄とアルミに乏しいことが結論づけられる。
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Research Products
(1 results)