2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J04269
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 未佳 北海道大学, 大学院薬学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 細胞膜 / 脂質 / 非対称 / 酵母 / トランスロカーゼ |
Research Abstract |
細胞膜の脂質は二重層を形成しているが,その内層と外層では脂質組成が異なることが知られ,脂質非対称と呼ばれている。脂質非対称の維持および変化は,生命現象において非常に重要であることから,厳密に制御するためのシグナル伝達機構を備えていることが考えられる。近年,脂質の二重層間の輸送(フリップ・フロップ)を行い脂質の二重層間の配向性を規定するトランスロカーゼ(フリッパーゼ,フロッパーゼ)分子が同定されてきている。そこで,脂質非対称の生理的役割とトランスロカーゼについての最近の知見を総説として発表した(Biol.Pharm.Bull.2006)。 また,細胞膜脂質非対称変化を感知するセンサー及びその下流のシグナル経路を解明するために,トランスポゾンの挿入により脂質非対称変化が誘発するRsb1発現上昇が損なわれた酵母変異株を単離し,その原因遺伝子の同定を行った。まず,RSBブのプロモーター下にレポーター遺伝子としてADE2を融合させ,RSBブの発現量をコロニーの色で判別することが可能な細胞株を作成した。その株にフロッパーゼρdr5欠損変異を導入した後,トランスポゾンをゲノムに挿入することによりグリセロリン脂質フロップ変化が誘発するRsb1の発現上昇が損なわれた酵母変異株を単離した。その結果,Rsb1の発現制御が既知である転写因子PDRブに加え,新たに5つの遺伝子(MOT3:転写因子,MCK1:タンパクキナーゼ,RIM13,RIM20,RIM2:pH応答に関わるRim経路の因子)にトランスポゾンが挿入された変異株が得られた。そして,それらの因子の欠損変異によるRsb1タンパク質の減少が確認されたことより,フロップ変化(pdr5遺伝子欠損)が誘発するRsb1発現上昇にMot3,Mck1,Rim13,Rim20,Rim21が関わることを明らかにした。
|
Research Products
(1 results)