2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J04269
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 未佳 Hokkaido University, 大学院・先端生命科学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 脂質 / シグナル伝達 / 酵母 / 非対称 / トランスロカーゼ / 細胞膜 |
Research Abstract |
細胞膜の脂質分子はその疎水部分で会合し二重層を形成しているが、脂質分子種毎に内層と外層どちらに多く分布するかは異なっている。この脂質非対称の維持および変化は,生命現象において非常に重要であることから,厳密に制御するためのシグナル伝達機構を備えていることが考えられる。私は、トランスポゾンの挿入により脂質非対称変化が誘発するRsb1発現上昇が損なわれた酵母変異株を単離し、その原因遺伝子の同定を行うことにより、細胞膜脂質非対称変化を感知するセンサー及びその下流のシグナル経路に関わる因子の同定を試みた。そのスクリーニングにより,フロッパーゼPdr5欠損による脂質の非対称変化が誘発するRsb1発現上昇にMot3,Mck1,Rim13,Rim20,Rim21が関わることを昨年度明らかにした。 そして本年度は、Mot3,Mck1,Rim13,Rim20,Rim21が脂質非対称シグナルにどのように関わるかという課題に取り組んだ。まず、Rim13,Rim20,Rim21は、pH環境変化に応答するRim101経路を介し、転写因子Nrg1を介してRsb1の発現を制御していることを示した。また、Rim101経路とMot3,Mck1は独立にRsb1の発現を調節し、脂質の非対称変化に応答するシグナルには、Rim101依存的な経路と非依存的な経路があることを明らかにした。Rim101経路はもともとpHの上昇によりで活性化されることが知られていたが、フリッパーゼやフロッパーゼを欠損させ脂質非対称を変化させた場合にも、Rim101経路が活性化することを見いだし、Rim101経路は膜の表面電荷によってそれらの環境変化を感知していることを示唆した。本研究は脂質非対称変化に応答したシグナル伝達という、これまで全く不明であったシグナルを明らかにした点で非常に意義が大きく、将来的に、脂質非対称が関わる様々な生命現象の機構解明への貢献が期待できる。
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Research Products
(2 results)