2006 Fiscal Year Annual Research Report
PLASyによるTGF-βシグナル伝達系の制御機構の解明
Project/Area Number |
06J04275
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井本 世祐 北海道大学, 大学院薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | TGF-β / シグナル伝達 / 分子生物学 |
Research Abstract |
これまでにPIASyがTGF-βシグナル伝達系を負に制御することを明らかにしてきた.そして,その分子機構としてPIASyによるSmad3のSUMO1化修飾について着目した. まず,Smad3のSUMO1化部位の探索を行った結果,核移行やDNA結合に関わるMH1ドメインに存在することが判明した.ここで,PIASyは核局在性分子であることからSmad3のSUMO1化修飾は核内で起こると考えられる.SUMO1化部位がMH1ドメインならば,SUMO1化修飾によりSmad3のDNA結合能に影響を及ぼす可能性が考えられる.これについてSmad3結合配列を含む二本鎖オリゴヌクレオチドをセファロース担体に連結させたビーズを用いたpull-down assayで検討した結果,SUMO1化Smad3は二本鎖オリゴと結合しなかった.これはSUMO1化修飾によってMH1ドメインがマスクされる,あるいは構造が変化することによりDNA結合を阻害される可能性が考えられる. さて,活性化Smad3が転写因子として機能するためには一定の間,核内に留まる必要がある.SUMO1化修飾によりDNA結合能が低下するならば,SUMO1化Smad3は核から細胞質へ排出されやすくなる可能性がある.そこで,培養細胞にECFP-Smad3を単独発現,またはPIASy, EYFP-SUMO1と共発現させ,その細胞内局在を観察した.その結果,共発現下のSmad3は単独発現時に比べて,核移行してから細胞質へ排出されるまでの時間が短くなっていた.この細胞質のSmad3がSUMO1化修飾を受けたものか否かをEYFP-ECFP間のFRET効率の測定により検討した結果,SUMO1化Smad3であった.よって,SUMO1化Smad3は核から細胞質へ排出されることが示唆された. 以上の結果から,PIASyによるSmad3のSUMO1化修飾を介した新たなTGF-βシグナル伝達系の制御憎構の存在を示した.
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