2006 Fiscal Year Annual Research Report
インターフェロンによるB細胞増殖抑制機構の解明-新たな機能分子Daxx-
Project/Area Number |
06J04276
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
室本 竜太 北海道大学, 大学院薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | インターフェロン / Daxx / サイトカイン / 細胞内情報伝達 / B細胞 / アポトーシス |
Research Abstract |
Daxxは近年,B細胞の細胞増殖/生存を抑制する機能をもつことが示唆されている.特に,B細胞発生の初期段階における,I型インターフェロン(IFN)によるB細胞生存抑制機序においてDaxxが必須の役割をもつという報告がある.この過程でDaxxの機能がどのように制御され発揮されるかについて分子機序を明らかにする目的で研究を行っている.Daxxは本来,主に核に局在するタンパクであるが,点変異導入(K630およびK631をAに置換)によって細胞質局在を示すDaxx変異体を用いたわれわれの研究から,IFNによるプロB細胞株の生存抑制においてはDaxxが核に局在して機能することが明らかとなった.マウスプロB細胞株BaF3細胞を用いて樹立した上記Daxx変異体安定発現株はIFNの生存抑制作用に対して抵抗性を示すことが観察された.そこで次に,個体レベルの免疫機能に対してDaxx変異体過剰発現による影響が認められるか調べる目的で,遺伝子改変マウスを作出し,表現型の解析を行った.まず,マウスへの抗原投与によって産生される血清中の特異的抗体量をELISA法によって測定する実験系を立ち上げ,この系を用いて遺伝子改変マウスにおける抗体産生能について解析した.しかし同腹仔コントロールマウスとの間に差は認められなかった.現在までに,骨髄におけるB細胞数や分化段階を評価するために細胞表面抗原の染色,フローサイトメトリーによる解析を行うための実験条件の検討を行い,骨髄中B細胞を分化段階特異的に検出する実験系が動きつつある.今後この系を用いてDaxx変異体発現マウス由来骨髄細胞との比較を行う.また,同時に進行していた実験から,プロB細胞の生存・増殖に関与することが知られる転写因子の機能がDaxxによって抑制される結果が観察され,核に局在したDaxxが遺伝子転写の抑制を介して細胞生存を制御することが示唆された.この詳細について現在解析を進めている.
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Research Products
(1 results)