2006 Fiscal Year Annual Research Report
転換期の林業・森林管理における担い手企業の労働編成と教育訓練の現状と将来展望
Project/Area Number |
06J04346
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
早尻 正宏 北海道大学, 大学院農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 林業労働者 / 教育訓練 / 林業事業体 / 高等学校森林・林業系学科 / 社会化 / 北海道 |
Research Abstract |
1990年代以降における林業労働市場の構造変化は、これまで個別事業体の経営課題の一つに過ぎなかった林業労働力の確保・育成を社会的な課題として認識させる契機となった。本研究では、北海道を事例地に、こうした時代状況における林業事業体の教育訓練をめぐる現状と課題を明らかにし、今後の林業労働対策の展開方向を考察した。 検討結果は次の通りである。第1に、林業事業体を対象としたアンケート調査から、各種研修の利用水準は事業体規模に依存すること、下請け業者の教育訓練に対する発注事業体の無関心、労働力確保・育成における事業体間の協業化の動き--などが明らかとなった。第2に、事例調査から、北海道有林の請負事業体の場合、道有林主導の協業化は労働者養成の共同化を促す契機になっていること、森林組合の多くは請負事業体に事業実行を依存しているが、請負事業体の教育訓練に関して森林組合は具体的支援をほとんど行っていないことが確かめられた。林業労働対策には、経営規模や、事業実行上の地位によって教育機会に恵まれない事業体とその労働者を公的領域に意図的に取り込むことが必要だと結論付けた。 これらの結果を、第55回日本森林学会北海道支部大会(2006年11月13日)で、「基幹林業労働力の育成政策とその到達点」と題して発表した。また、この報告に基づいて作成した「グリーンマイスター研修の到達点と新しい課題」が『日本森林学会北海道支部論文集55』に掲載予定となっている。 このような研究成果をまとめて、学位論文を作成し北海道大学に提出した。論文題名は「1990年代以降の林業・森林管理における人材育成システムの再編に関する実証的研究」である。
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Research Products
(1 results)