2006 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ乳腺組織構築に対する脂肪細胞由来分泌因子の役割
Project/Area Number |
06J04368
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山地 大介 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 乳腺上皮細胞 / HGF / レプチン / 肥満 / 三次元培養 / クローニング / 馴化培地 / 妊娠 |
Research Abstract |
ウシ乳腺の組織構築における脂肪細胞由来分泌因子の役割を明らかにするため、間質細胞から分泌され、様々な臓器の発達に関与する肝細胞増殖因子HGFと代表的な脂肪細胞分泌因子であるレプチンに着目して、臓器および細胞レベルでそれらの役割を検討した。 まずHGFおよびその受容体c-Met cDNAのウシホモログをクローニングし、その分子構造を明らかにした。HGF mRNAの発現は非妊娠期の乳腺において検出されるが、発達期、泌乳期および退縮期には検出されなかった。一方、レプチンのmRNAは、非妊娠期、発達期、退縮期に検出され、泌乳期には検出されなかった。このように、ウシ乳腺組織においてHGFおよびレプチシの遺伝子発現が乳腺組織の発達に伴って変化することが明らかとなった。 次に、ウシ間質脂肪前駆細胞を分離、培養し、各々の遺伝子発現を調べた。未分化な細胞ではいずれの遺伝子も発現がみられず、成熟脂肪細胞に分化させると発現が増大した。さらに、ウシ乳腺上皮細胞(BMEC)を分離し、そめ形態形成に及ぼす脂肪細胞由来分泌因子の影響を三次元培養法で調べたところ、前駆脂肪細胞馴化培地では何ら影響はみられないが、分化後の成熟脂肪細胞馴化培地はBMECを導管様および腺房様の構造を有する形態へと変化させた。この作用は、HGFを介していることが明らかとなった。レプチンは、単独ではBMECに影響を及ぼさなかったが、HGFによるBMECの形態形成作用を阻害した。このように、脂肪細胞由来分泌因子が、ウシ乳腺上皮細胞の形態形成を複雑に調節していることが明らかとなった。HGF、レプチン共に分化後の成熟脂肪細胞で発現がみられるため、これらの多寡が乳腺上皮細胞の形態形成を調節しているのかもしれない。現在、レプチンによるBMEC形態形成の抑制機構をより詳細に検討中である。
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Research Products
(5 results)