2007 Fiscal Year Annual Research Report
極低温星間塵表面反応による星間分子の水素同位体分別機構
Project/Area Number |
06J04387
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長岡 明宏 Hokkaido University, 大学院・環境科学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | メタノール / アモルファス氷 / 水素同位体分別 / 表面反応 / トンネル反応 / 星間塵 / 分子雲 |
Research Abstract |
昨年度は,メタノール分子とD原子の表面反応速度の温度依存性および試料固体の化学組成依存性を10-20Kの温度範囲で測定した.その結果,反応(CH_3OH+D→CH_2OH+HD)の速度は,10Kで8.5×10^<-3>s^<-1>,20Kでは6.0×10^<-3>s^<-1>となることがわかった.今年度は,さらに高温(20-30K)での反応速度を測定した.25Kでは上記の反応の速度は1.0×10^<-3>s^<-1>,30Kにおいては約1×10^<-4>s^<-1>となり,温度の上昇により反応速度が非常に小さくなることがわかった.アモルファスH_2O氷表面にCH_3OHを蒸着した場合では,上記の反応の速度は,20K以下においてはCH_3OHのみの試料の場合と同程度であるが,30Kでは約1×10^<-3>s^<-1>となり,CH_3OHのみの試料より反応速度が1桁大きくなることがわかった.以上のことから,メタノール重水素置換体の生成速度は,試料の温度および化学組成に強く依存し,特にアモルファス氷が下地として存在する場合では,高温(30K)においても反応が生じること(触媒効果)が明らかになった.これらの結果は宇宙での水素同位体濃集機構を議論する際に重要となる新たな知見であり,惑星科学や天文学,宇宙化学への貢献が大である.
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Research Products
(4 results)