2006 Fiscal Year Annual Research Report
表面π修飾型半導体ナノ微粒子の設計とセンシング材料への応用
Project/Area Number |
06J04392
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平谷 卓之 北海道大学, 大学院地球環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 半導体クラスター / CdS / 発光 / 金属イオン |
Research Abstract |
これまで申請者は、π機能団で表面を修飾した分子状Cd_<10>S_<16>クラスターとある種の四級アンモニウム塩とが、有機溶媒中においてπ相互作用を介して集積化することを見出した。さらに、この集積体形成に伴う表面環境の変化が刺激となり、著しい発光増強が誘起されることを明らかとした。そこで本年度は、水中で機能する発光センサーの開発を目指し、表面π修飾水溶性CdSクラスターの合成、およびこれを用いてゲスト物質に対する発光応答性について調べた。ここで、ゲスト物質としては各種金属イオンを用い、重金属イオンをターゲットとしたセンシング系の構築を試みた。その結果、オリゴエチレングリコール置換フェニレン部位を表面に導入した分子状CdSクラスターが、水溶液中でアルカリ・アルカリ土類金属をはじめとするほぼすべての金属イオンに対して全く応答性を示さなかったのに対して、11族d^<10>金属イオン,特に銅(I)イオンと相互作用することによって顕著な正の発光応答を示すことを見出した。これに関してSEC測定,TEM測定により詳細を調べたところ、発光強度の増大に伴ってクラスター表面のS原子と銅(I)イオンとが相互作用することにより、両者の組成1:1で直径30nm程度の巨大な集積体を形成することが明らかとなった。さらに、時間分解発光測定による検討から、銅(I)イオン添加に伴う正の発光応答は、新たな発光準位形成に起因するものではなく、有機部位の運動性や配向性に基づく表面環境の変化が深く関与していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)