2007 Fiscal Year Annual Research Report
ラミニン機能ペプチドを用いたレセプター特異的ながん細胞の浸潤転移メカニズムの解明
Project/Area Number |
06J04397
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
横山 史晴 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 基底膜 / ラミニン / シンデカン / インテグリン / クリプティックペプチド |
Research Abstract |
がん細胞の浸潤・転移の過程で非常に重要な役割を果たしている基底膜の分解メカニズムや、分解産物によるがん細胞への影響の分子機序は非常に複雑である。本研究は、レセプターが同定されているラミニン機能ペプチドを用いて、レセプター特異的ながん細胞の浸潤転移メカニズムの解明を目的としている。 本年度は、ラミニンα3鎖LG4モジュール内から同定されたA3G756ペプチドに注目した。タンパク質内でこのペプチド配列はループ部位に位置するため、ループ構造をミミックしたサイクリックペプチドを用いて研究を行った。鎖状ペプチドに比べてサイクリックペプチドの生物活性は飛躍的に上昇するというin vitroのアッセイ系でデータに引き続き、in vivoでの創傷治癒に対する効果を検討したところ、直鎖状のペプチドよりも創傷治癒に対する効果が高いという結果がマウス・モデルの系で得られた。今後は、このin vivoの結果をもとに、創傷治癒の医薬分野への応用を検討していくとともに、がん細胞の遊走や浸潤転移に関わる細胞内シグナルや遺伝子発現への影響の解析を予定している。 また、本年度は共同研究として、ラミニン-1からアミロイドを形成する活性ペプチドを同定し、それらが非常に強い細胞接着活性と神経突起伸長を促すということを示した。ラミニンがアルツハイマー病のアミロイド斑に存在し、アミロイド前駆体と結合するという報告もあることから、これらのペプチドを利用することで、将来的には病態メカニズムの解明や新規な治療法の発展が期待される。これらの結果は、Kasai, S. et. al., 2007, Biochemsitryにて発表済みである。 これらの研究成果を発展させていくことで、レセプター特異的ながん細胞の浸潤転移メカニズムに新たな知見を与え、ラミニン機能ペプチドの医薬分野への応用が期待される。
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Research Products
(1 results)