2007 Fiscal Year Annual Research Report
注意欠陥/多動性障害の事象同定プロセスにおける認知特性の解明
Project/Area Number |
06J04403
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澤木 梨沙 Hokkaido University, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 事象同定プロセス / 逸脱情報処理 / トップダウン注意制御 / ボトムアップ注意制御 / 空間的注意 / 事象関連脳電位 / 刺激文脈 / P3 |
Research Abstract |
事象同定プロセスの基礎メカニズムを明らかにするため,非侵襲的な脳機能計測法である事象関連脳電位を用いて以下の2つの研究を行い学術雑誌に発表した. 1、 トップダウン注意制御により変容する逸脱情報処理の認知メカニズムについて検討するため,標的検出が容易な刺激文脈と困難な刺激文脈における逸脱情報への脳活動を計測した.標的検出が困難な刺激文脈事態では容易な刺激文脈事態に比べ,逸脱情報へのP3反応が増大した.これは,標的検出が困難な文脈事態では,逸脱情報に配分される注意資源が増大するためであることを明らかにした.この研究成果をClinical neurophysiology誌に発表した. 2、 上述の効果を更に検討するため,標的情報と逸脱情報の出現する位置を実験的に操作し,逸脱情報に惹起される事象関連脳電位を検討した.結果から,標的検出が難しい事態では,(1)標的情報が出現する位置へと空間的注意が焦点化し,(2)情報処理は空間的注意の焦点内では促進し,焦点内では減衰するため,(3)空間的注意の焦点内に出現した逸脱情報への注意資源配分は増大し,焦点外では減少する,というメカニズムが背景にあることがわかった.この研究成果をJournal of Cognitive Neuroscience誌に発表した. これらの研究成果は,トップダウン注意制御とボトムアップ注意制御が事象同定プロセスにどのように関与しているのかを理解する上で重要な意義がある.
|
Research Products
(3 results)