2007 Fiscal Year Annual Research Report
金属微小接合の溶液内安定形成とコンダクタンス量子化挙動の制御
Project/Area Number |
06J04418
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小西 達也 Hokkaido University, 大学院・理学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金属ナノ接合 / 単一分子接合 / 電子線リソグラフィー / 表面増強ラマン散乱 |
Research Abstract |
平成19年度は単一分子接合の分子-金属結合状態の評価手法開発を目的に研究を行った。 近年、金属ナノギャップに架橋した単一分子接合は、従来の半導体デバイスに変わる微小デバイスへの応用の点から注目を集めている。現在までに様々な単一分子接合が作製され、その伝導度測定がなされてきた。しかしほとんどの場合、電気伝導度のみが測定されているので、真に目的となる分子の伝導度を測定しているのかが明らかではない。そこで私は表面増強ラマン散乱(SERS)に着目した。SERSでは金属ナノギャップを利用することで単一分子レベルの分光が可能となり、ナノギャップ間における分子の同定、分子の架橋状態を評価できるからである。そこで電子線リソグラフィーと反応性イオンエッチングを用いて作製したAuナノギャップ電極を用いて、単一分子接合の電気伝導度計測、およびラマンスペクトル計測を行うことを試みた。 Auナノギャップ電極は以下のような手順で作製した。厚さ0.8mmのA1基板を陽極酸化し表面に絶縁性の酸化膜を形成させた。その後、ポリイミド膜をスピンコートし、その上にAu電極を電子線リソグラフィ法により作製した。Auナノギャップ電極はAu電極をピエゾ素子を用いて押し曲げ破断させることで作製した。分子接合はAuナノギャップ電極を1mM 4,4'-ビピリジン水溶液中に浸すことで作製し、近赤外顕微ラマン測定を励起波長785nmにておこなった。 近赤外顕微ラマン測定の結果、ナノギャップ近傍において局所的にラマン散乱シグナル強度が増大する現象が観測された。ギャップ近傍で得られたスペクトルはバルクスペクトルとエネルギー位置、ピーク強度比などの点で良く似ており、Auナノギャソプに架橋した4,4'-ビピリジンのラマンスペクトルを計測できたものと考えている。一方、定量的には両者は異なっており、今後詳細に検討する必要がある。
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Research Products
(15 results)