2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子内トリアリールメタン-トリアリールメチリウム錯体の三中心結合:その構造と物性
Project/Area Number |
06J04425
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武田 貴志 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 三中心結合 / ヒドリドシフト / カルボカチオン / X線構造解析 / 一電子還元 |
Research Abstract |
単離可能な[C…H…C]^+型三中心二電子結合を目指し、カルボカチオンをトリアリールメチリウムの形で安定化させ、ナフタレン、アセナフチレンなどのアリレンスペーサー中に組み込んだ「分子内トリアリールメタン-トリアリールメチリウム錯体」の合成およびそれらの単離を行ってきた。これまでにカルボカチオンの安定化は三中心結合性に影響を与えないこと、トリアリールメチリウムを組み込むアリレンスペーサーが三中心結合性に大きく影響を与えることを明らかにしている。本年度は以下の研究を行った。 1.これまでに合成したナフタレン、アセナフチレン、ビフェニルジイルに加え、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、ジフェニルエーテル誘導体を新たに合成した。それらの温度可変NMR解析、およびX線構造解析を行った結果、[C-H…C]^+部位の距離と分子内ヒドリドシフト反応との間に直線的な相関が見出され、より近接位に[C-H…C]^+部位を強制することができれば目的の[C…H…C]^+三中心二電子結合が構築できることが示唆された。 2.分子内トリアリールメタン-トリアリールメチリウム錯体の一電子還元による[C…H…C]型三中心三電子結合化学種の検討を行った。溶液中での電解還元を行ったところ、等吸収点を持ちながらUVペクトルの変化が観測され三中心三電子化学種の生成が示唆された。今後、ESRを用い、化学種の同定、単離を行う予定である。
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Research Products
(2 results)